2018年春のおすすめ本 ~カナダ文学編~

2018年春のおすすめ本 ~カナダ文学編~
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2018年春のおすすめ本 ~カナダ文学編~

昨年はカナダ建国150周年、あちこちで記念グッズが販売されていました。書店でも、「The World Needs More Canada Box(世界はカナダをもっと求めている!)」という大げさな(!?)キャッチコピーでカナダ人作家の本を数冊まとめたセットが売られています。

日本では日本語の本が出版されますので、もちろん日本人作家の本が多くなりますが、カナダではアメリカ、イギリス等の英語圏の本が数多く出版されています。また、世界中の人気作も英訳されていますので、あまりカナダ人作家を意識したことはありませんでした。

世界はカナダを求めている!・・・かどうかは分かりませんが、カナダ人作家の本を探してみましたのでご紹介します。寒い冬の日の楽しみに、図書館やお気に入りのカフェで読書はいかがでしょうか。

赤毛のアン / モンゴメリ

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赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)

カナダ文学で真っ先に(そして唯一・・・!?)思い付くのは赤毛のアンではないでしょうか。世界中に愛されるアンの物語はカナダ国内でも人気で、何度もドラマ・映画化されています。

プリンス・エドワード島の自然の中でのびのびと育つアンの物語は、皆さんご存知だと思います。私は、アンを甘やかしてはマシューおばさんに睨まれてしまう不器用なマシューが大好きです。読んだことのない方も、内容を忘れてしまった方も、この機会に是非読んでみてください。

侍女の物語 / マーガレット・アトウッド

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侍女の物語 (ハヤカワepi文庫)

マーガレット・アトウッドは、ディストピア文学と呼ばれる、不条理で否定的な近未来の世界を描くカナダでも人気の現代作家です。この「侍女の物語」も、今年の春にドラマ化されています。

舞台は、重大な環境汚染により出生率が著しく低下した近未来の国家都市。国家の存続という名目のために、全ての国民が管理・支配されています。特に若い女性は無理やり高級管理官の「侍女」にされ・・・。アトウッドは作品の世界観をはっきりと描写せず、読み進めるうちに徐々に背景が明かされていくのが楽しいです。

その他、オリクスとクレイク、昏き目の暗殺者・・・等、多くの著書が和訳されています。内容が重いので好みは分かれると思いますが、侍女の物語を面白いと感じるようでしたら、是非他の作品も読んでみてください。

イラクサ / アリス・マンロー

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イラクサ (新潮クレスト・ブックス)

アリス・マンローは、2013年にノーベル文学賞を受賞した現代短編文学の名手です。ノーベル文学賞受賞時には、「人間の本質を見抜き、誰が主役であるのか・何が起こるのか全くわからない話の展開は、卓越している」と称されました。イラクサに収録されている「クマが山を越えてきた」は、「アウェイ・フロム・ハー君を想う」というタイトルで映画化されています。

「ディアライフ」、「小説のように」、「林檎の木の下で」等、邦訳も数多く出版されているようです。カナダの誇るノーベル文学作品はいかがでしょうか。

その他にもカナダ人作家はたくさんいるのですが、和訳されたものが少ないのが残念です。

番外編

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1Q84 (Vintage International)

最後に、英訳されてカナダで販売されている日本の本をいくつかご紹介しましょう。

村上春樹はカナダでも人気の日本人作家です。ほとんどの作品が英訳され、新刊がでたときには書店内の目立つところに山積みされていました。カバーはポップで派手な印象があります。また、日本では3部作に分かれていた1Q84は1冊にまとめられ、漬物石になりそうなぶ厚さで売られています。

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I am a Cat (Tuttle Classics)

書店でたまたま見かけた「I am a Cat(私は猫)」というタイトルの本。気になって手に取ってみると、著者はなんとソーセキ・ナツメ!!「吾輩は猫である」は「I am a Cat」になってしまうのですね。

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