最近の話題で、AI(人口知能)という言葉をよく耳にします。 いまやスマホやPCなどコンピューターが日々の生活に不可欠な社会で、膨大なデータを瞬時に解析して、私たちの生活サービスを各段に豊かにしてくれるコンピューター時代の主力分野のひとつであります。 今回、そんな先端分野でカナダで注目される現地情報をお届けします。
人口知能(AI)の最難関、無敵のポーカー・プログラムで世界の最先端をゆくカナダの大学
突然の質問ですが、皆様は、トランプのポーカーは好きですか・・・??
「え? いきなりポーカー? カジノ??」 と驚かれた方は、大変失礼しました。(笑)
実は、いま世界で最強ポーカーゲームの勝者はカナダにあります。 「カナダに“ある”?」=チャンピオンは人じゃない?と、ピンきた方は鋭い、そうなんです!北米のポーカー最高峰のテキサス・ホールデムで、世界の強豪プロ達を抑えて、見事チャンピオンに輝いたのは人間ではなくカナダ・アルバータ大学(University of Alberta)チームが開発した人工知能(AI)だったのです。
注)テキサス・ホールデムは、自分2枚の手札と、コミュニティ・カードと呼ばれる全プレイヤー共通のカード(最大5枚)を組み合わせて2-10人でプレーする北米でポピュラーなポーカーゲーム
映画007の「Casino Royal」で、主人公のジェームズ・ボンドがプレイしてるのがテキサスホールデムですね。
アルバータ大学と同じポーカー理論で有名な米カーネギーメロン大学(Carnegie Mellon University)のコンピュータ科学者、トゥオマス・サンドホルム(Tuomas Sandholm)氏も、数多くある「不完全情報ゲーム」のなかでも、ポーカーは人工知能(AI)にとっては最大級の挑戦だと、サイエンス誌の記事に記しています。
今回、記事で取り上げた一流のポーカープレイヤーを負かせる人工知能「ディープスタック」(DeepStack)開発に成功したアルバータ大学チーム責任者のマイケル氏は勝利のAFPの取材に、彼の研究チームは2003年より「現在の超一流プレーヤーに負けない、またどんな戦略にも負けない、完璧なプレーヤーを作り出すこと」を目標に掲げてきたと語っています。
同大学では、ポーカー理論を応用し、空港検問所の保安体制の強化や、沿岸警備パトロールの向上、医療上の決定の改善などに役立つ可能性を研究し発表しています。
実は、このAI(人工知能)が人間を破ったのは、今回のポーカーが初めてではありません。
最初に、ゲームで人間を打ち負かしたコンピューターとしては、1994年にボードゲーム「チェッカー」の世界選手権で初めて人間を破ったプログラム「チヌーク(Chinook)」や、1997年にのチェス世界チャンピオンに勝った「ディープ・ブルー(Deep Blue)」などがあります。また、米コンピューター大手IBMが開発した高性能コンピューター「ワトソン(Watson)」は、2011年、米国のクイズ番組「ジョパディ!(Jeopardy !)」で優勝しています。
2010年の東京オリンピックでは、もちろん試合にAIを使うチームがかなりあるでしょうし、別には、これからはじまる日本のカジノでも、きっと優秀なAIが使われます。
カナダ連邦政府がAI戦略構想を後押し
カナダは連邦政府による、「カナダAI戦略(Pan-Canadian Artificial intelligence strategy)」を2017年に発表し、世界的なAI改革の拠点として中心に据えた産業政策を推進しています。ジャスティン・トルドー首相は約1億ドルの予算を計上し研究機関や大学企業との協力強化を行い、その中でもベクター・インスティテュートは、この計画により発足された研究施設です。ここにはディープラーニングの創設者で元トロント大学教授のジェフリー・ヒントン教授が就任し、トロントの他にモントリオールとエドモントンにもAI開発のための研究施設を設立することを契約したこの戦略は、AI改革をリードする一人者として、この分野が未来のカナダを支える大きな産業となっていくことを予想させます。
アルバータ―大学では、米Googleが買収した英DeepMind社が参画しAI研究開発をスタートさせていて、また東海岸トロントやモントリオールの都市でも、カナダ政府のAIを推進する政策に、米FAANG企業をはじめ続々と参加し、投資資金と優秀な人材が集まりだしてきています。
トロントではダウンタウンから少し離れたオンタリオ湖のウォーターフロント地域に、街をAIコントロールで次世代スマートシティ構想がGoogle主導で、またアマゾン第二本社としてトロントが候補にあがっています。