前回のコラムでは資産形成における分散の効果についてお話をしました。

複数の投資対象を組み合わせることで、資産全体の価値が大きく下落するリスクを抑えることが可能になり、大事な資金を安定して増やすことができます。

また、投資のタイミングを分けることも有用です。一度にまとめて投資するよりも、長期に渡って少額の投資を積み立てて行く方が資産全体の価格下落のリスクが小さくなります。

今回は、長期運用のメリットについて掘り下げてみたいと思います。

長期運用でリスクをおさえた投資が可能に

長期運用とは、少なくとも10年以上の期間をかけて運用すること、をいいます。

投資をするときは誰しも安く買って高く売りたいものです。しかし、資産価格は様々な理由により値動きし、外貨建て資産に投資をする場合は為替変動も関係してきます。「買い時」や「売り時」を適格に予想することはとても複雑で、そのタイミングを見極めることは投資のプロでも非常に難しいです。

長期運用をする大きなメリットは、この短期的なマーケット動向から解放されるという点です。

短期的な投資では市場の動きによって、リターンが大きくなったり小さくなったりします。投資している金融商品特有の理由で価格が上下する可能性もあります。また、リーマンショック時のように金融マーケット全体が急落することもありえます。

ところが資産を長期運用していると、市場に多少の価格変動の波が来ても、それは一時的なものとなり、長い目でみると着実に資産を増やすことにつながります。長期保有していると、その間に発生する短期的な価格の値上がりと値下がりが打ち消し合い安定してくるためです。別の言い方をすれば、短期での投資はハイリスク・ハイリターンの投資、長期での投資はローリスク・ローリターンの投資ということになります。

同じ資産に対して、「1年だけ」投資したときと、「15年間続けて」投資した場合を比較してみると、短期と長期での運用リスクの違いがよくわかります。多くの場合、15年間続けて投資した場合の方が最終的なリターンは大きくなります。

米国のS&P指数を例にとってみます。1988年から2016年の間に、「1年間だけ」投資した場合は、1年あたりのリターンは最も高かった年でプラス60.7%、最も低かった年で-48.7%と非常に大きなばらつきがあります。しかし「15年間続けて」投資した場合は、そのばらつきが年率11.3%から1.7%と縮小し、最悪ケースでもプラスで年率1.7%のリターンが得られているのです。

長期で投資をすることで、マーケットが大きく下落したときなどにパニック売りをすることもなく、落ち着いて着々と投資を続けることが可能になります。そして結果的に安定したリターンを手に入れることができるのです。

複利の効果‐時間を味方に

さて、資産を長期運用するもう一つの大きなメリットは「複利」の効果です。

複利は単利よりもお得だとなんとなくご存知の方も多いかと思います。単利の場合は、一番最初に投資した元本に対してのみ利息がつきます。それに対して、複利は最初の元本についた利息を元本に組み入れて再運用するので、元本がどんどん大きくなっていきます。その結果、単利よりも大きな利益を生むことが知られています。

投資によってリターンが発生すると、その利益を消費したくなるのですが、そこをぐっとこらえて、そのリターンを再投資します。それを繰り返し長期間運用し続けることで、最終的に、大きな利益を手に入れることができます。

例えば、100万円の元手を10%で運用した場合の複利と単利の違いを見てみましょう。

100万円を単利10%で運用した場合、元本の100万円はそのままで毎年10万円の利息が発生します。つまり、毎年110万円、120万円、、と10万円づつ増えていき、その結果10年後には資産価値が200万円になっている計算になります。

一方で、複利10%で運用した場合はどうなるでしょうか。複利の場合は、毎年発生する利息を元本に組み入れるため、元本は毎年大きくなります。例えば2年目は、当初の元本100万円と1年目に発生した利息10万円を足した110万円が新しい元本となり、これに対して10%の利息(11万円)がつきます。

翌年以降も同様に元本が大きくなるため、毎年利息が大きくなります。これが複利は「利息が利息を生む」と言われる所以です。これを10年間継続すると、10年後には資産価値が約260万円になり、単利で運用した場合の200万円より資産価値が大きくなることがわかります。

複利の効果は元手が少額であっても変わりません。また、その効果は運用期間が長くなればなるほど大きくなります。要は「時間さえかければ確実に資産を増やすことが可能である」ということなのです。

最後に

今回は長期運用のメリットについてお話をしました。

時間を味方につけて長期で運用することで、マーケットの動きに左右されずに着実に資産形成をすることができることがご理解いただけたかと思います。保有期間が長いほど最終的なリターンを大きくなるため、少額からでも早めに運用を開始することが大切になります。

注意すべきは、複利の効果を得るためには、運用期間中に利益を現金化しないで投資し続けることがポイントになることです。このため余剰資金を使って行うことが大切になります。将来のために効率的なマネープランをお早めに検討されることをおすすめいたします。