上手なお金との付き合い方とは何でしょうか。

私たちが日々暮らすなかで、お金との付き合いは避けて通ることができませんが、いざ使うとなるとあまり深く考えずにその場その場で意思決定をしている方も多いのではないでしょうか。

金融庁では、「生活スキルとして最低限身に付けるべき金融リテラシー」を定めています。

その内容は、「家計管理」「生活設計」「金融知識及び金融経済事情の理 解と適切な金融商品の利用選択」「外部の知見の適切な活用」の4分野に分かれます。社会で生活する一人ひとりが、より自立的で安心かつ豊かな生活を実現するために必要となるお金に関する知識・判断力が示されています。

今回は、その中の「外部の知見の適切な活用」の分野から、「資産形成商品」に注目してリスクとリターンのお話をします。

リスクとリターンの関係は金融商品を理解するうえでもっとも大事なポイントです。ご自身で金融商品を選択する際に必要となる知識ですので、これを機にぜひ身に付けてください。

リスクとは?リターンとは?

さて、ここでひとつ質問です。

あなたにとってリスクとはなんでしょうか。また、リターンとはなんでしょうか。

リターンの方が意味はシンプルですね。投資対象の金融商品から得られる収益です。株式や債券であれば、株価の値上がりによるリターンと配当や利子によるリターンがあります。不動産投資によるリターンには、物件の賃貸収入と売却した際の利益があります。投資対象を検討する場合、一定の投資期間を定めて平均的に得られるリターンを計算し、期待収益率を計算することが多いです。

次にリスクについて考えてみましょう。「〇〇のリスクがある」という言い方は、日常生活においてもよく使う表現ですね。危険性や悪い結果をまねく可能性という意味合いで使われることが多いかと思います。

しかし、金融商品についての「リスク」は「不確実性」を意味します。

ここで気をつけるべきことは、リスクが大きい金融商品は、大きな損をする可能性も、大きな儲けがでる可能性もあるということです。そうです、リスクは損という意味だけではないということですね。言い換えると、リスクとは期待される収益の「ぶれ幅」です。

ハイリスク・ハイリターン vs. ローリスク・ローリターン

一般的に、リスクとリターンは比例します。

リスクが大きい=期待されるリターンが大きい(ハイリスク・ハイリターン)、もしくは、その反対に、リスクが小さい=期待されるリターンが小さい(ローリスク・ローリターン)という場合もあります。

例えば相場が安定せず、将来どうなるかわからない金融商品を購入しようとする場合は、よっぽど高い収益が見込める可能性がないと投資したくないですよね。これがハイリスク・ハイリターンの投資です。逆に、将来の見通しをある程度立てることができる金融商品へ投資する際は、莫大な利益を期待することはないでしょう。これがローリスク・ローリターンの投資です。

株式を例にとって考えてみましょう。株式には「価格変動リスク」があります。これは株式の価格が購入後に上がったり下がったりするリスクです。未公開株など、将来の成長を予測することが難しい銘柄への投資は、不確実性の高い投資となり、大きな利益を得られる可能性がある一方で、大きな損失がでることもあるハイリスク・ハイリターンの投資となります。

それとは対照的に、設立後の歴史が長く、財務諸表等の情報公開もしっかりされている大企業の銘柄などは、株価も比較的安定しているため将来の見通しが立てやすいですね。これはローリスク・ローリターンの投資といえます。

金融商品に関係するリスクは、価格変動リスク以外にもたくさんあります。社債へ投資する際は投資先の会社が倒産すると元本が戻ってこない可能性があります。これを「信用リスク」と呼びます。また、外国の金融商品を購入する場合や、国内で外貨預金等を行う場合は為替レートの変動による「為替リスク」が発生します。その他にも、「カントリーリスク」「金利変動リスク」「流動性リスク」などリスクには様々な種類があります。

このように金融商品によってリスクの種類は変わりますが、期待されるリターンが大きい投資は、運用がうまくいけば大きな収益がでる可能性がある反面、大きな損失を出す可能性も持ち合わせているという、ハイリスク・ハイリターンの一般原則は全てのリスクに共通します。

人によって許容できるリスクは異なる

さて、ここまでリスクとは何か、リスクとリターンの関係、そして金融商品によってリスクの大きさは様々だということをお話してきました。

次に人によってリスクに対する許容度、態度は異なることをお話しします。

資産運用は、生活費やローン返済などに充てる必要がない余裕資金を使って行います。当然ながら、投資に使える余裕資金の多い人ほど大きなリスクが取れます。仮に損失が発生した場合にもダメージが少なくてすむからです。

また一般的に、年齢が若い人ほどリスクの許容度が上がります。若い人ほど運用後の資金を使うまで時間があるので(子供の学費、老後の生活費等)、長期での運用が可能になります。長期運用することで、投資するタイミングを複数回にわけるなどして時間分散の効果を期待することもできます。

リスクに対する考え方は人によって異なります。これを経済学では人のリスク選好とよびます。

例えばあなたは次の二つの選択肢があるとしたらどちらを選びますか?

A:50%の確率で100万円がもらえる(50%の確率で何ももらえない)
B:100%の確率で50万円がもらえる(確実に50万円がもらえる)

もしあなたがAを選択するならあなたはリスク愛好的です。リスク愛好的な投資家は、多少損失が出る可能性がともなっても、大きな利益を手にするチャンスがあるなら投資するタイプです。

Bを選択した人は、リスク回避的な方です。リスク回避的な投資家は、ある程度の利益が充分に見込めるときだけ投資をします。

多くの投資家はリスク回避的だと言われていますが、中には好んで大きなリスクを取りにいくタイプの投資家もいます。

あなたはどちらのタイプでしょうか?リスク愛好タイプの方は、余裕資金が少ないにもかかわらず大きなリスクをともなう投資に手を出そうとすることもあります。投資を検討するうえでご自分のタイプをしっかり認識しておくことも大事ですね。

最後に

今回は資産運用におけるリスクとリターンのお話をしました。リスクとリターンの関係を十分に理解していれば、「ローリスク・ハイリ ターン」だと広告されている金融商品を見ても飛びつくことなく冷静に検討することができます。

必要となるお金は人生のさまざまなステージで変わってきます。ご自分のお金を上手く管理して計画的に使うことは人生を豊かに過ごすうえで欠かせません。ご自身の求めるリターンと、ライフステージに合わせた許容できるリスクをしっかり把握し運用に活かしていただければと思います。